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身近な存在に向き合う(上)


2002年11月19日毎日新聞より抜粋
mainichi0211.jpg 2年に一度、夏休みに家族全員で夫の両親を訪ねます。私はさすがに10日くらいがお休みの限界ですが、家族はたっぶり1カ月、イギリスでの夏を過ごします。
 うちの子供たちは、大半を日本で過ごしていますが、2年に一度のイギリス滞在と、イギリスに行かない年は向こうの義母が1カ月、ほどこちらへ来て下さることにより(残念ながら、義父は大旅行するる体力がありません)、自分たちの中に二つの文化があることを、自分なりに少しずつ分かっていてくれているのではと、思っています。
 去年の夏、二女の身に起きたイギリスでの最大の出来事は、「ダッチェスに会って、一緒に卵を拾った!」ということでした。
 ダッチェス? 公爵夫人と一緒に卵を?
 落ち着いて聞いてみると、広大なお城の一部を市民に公開している、デポンシャー公爵夫人(80)が、彼女の趣味であるニワトリの卵拾いに一人で農園に出向いたところ、ちょうど遊びに来ていた我が子供たちと夫のピーターにばったり出会い、「一緒に拾いませんか?」と声をかけて下さったそうです。子供たちは一斉に「ワーイ!」と歓声を上げたのでした。
 「まあ、ピーター、思わず目を手で覆わなかった?」。その時の情景が、まざまざと浮
かんできました。「うん。僕はね、他人を装って、その場からジリジリ離れたよ」そう
でしょうねぇ)
 「ダッチェスはブラウスにスカートだったけど、見たこともないような、大きな重そうな宝石の首飾りをしていたの。ママ、あれ本物かなぁ?」
 「うーん、ダッチェスだからねぇ。多分本物だと思うよ」
 「私たち、一生懸命、落とさないように卵をたくさん集めたの」
 「1個も割らなかった」
 「そう、良かった」
 「でもね、終わったら『サンキュー』でおしまい。1個くらい卵をお礼にくれても良いのにね」と二女はやや不満気昧に報告してくれました。
 「あの広いお城を管理しているんだもの。さすがにダッチェスはしっかりしているわねぇ」。
私は思わず笑ってしまいました。こういう出来事も、イギリスならではです。
 実は去年のイギリス滞在には、私は同行できませんでした。5月の連休にクリニックを引っ越ししたばかりで、責任者の私がすぐに留守にするわけには行かなかったのです。だからダッチェスとの卵拾いも、実際に見ることは出来ませんでした。
 患者さんとの出会いは、ある日突然始まるので、長期に留守にする計画を立てることは、とても勇気がいるのです。
 しかし、イギリスは私の第2の故郷と呼んでも良い所です。どの人にも相性の良い国があるかと思いますが、私にとってイギリスは、「ホスピタリティー(温かくもてなす心構え)とは何か」「自立した間柄で互いを支えるということは何か」を教えてくれた、懐かしい場所なのです。
 重症の患者さん方に了解を得て、代理の医師や医療機関にもしつこいほどお願いをして、私は10月初めに、ホスピタリティの再学習にイギリスへ向かいました。その旅のお話は、また次回に……。
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