エッセイ

最期の平和な一夜


子供たちは夏休み。猛暑の甲府の夏。
いのちに寄りそう仕事に休みはないことは
わかっていても
「お母さん、ふつうの仕事だったらいいのになぁ」
ときっと幼心にはうかぶこともあったと感じている。
在宅ホスピスケアの現場の厳しさはあいかわらずだけれど、
国の方針もあり、受け皿の質的な確保もないまま家に戻ってきて困る患者さんが
全国的に増えそうで心配だ。
先週は東京の大病院から危篤寸前で救急車でお戻りになった50代の人生の最期の3日間にかかわらせていただいた。
「治りたい」
「治したい」
という必死の本人と家族の思いから
「ありがとう、さようなら」と病人を囲む奇跡のような三日目へ。
最期の平和な一夜がなによりの救いだったと思いたい。
2007年8月1日
内藤いづみ


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