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最期に寄り添う原点

山梨日日新聞2019年11月2日付、読書週間企画「私が選ぶ一冊」より。

山日2019112
「秘密の花園」バーネット作
本は私にとって切り離せないものです。中でも将来にわたって影響を与えたのが、10歳前後の時に読んだ本。その1冊が「秘密の花園」です。母が買ってくれた世界文学全集の中にありました。
物語の舞台は、イギリスのヨークシャー地方。ある大きな家にインドで両親を失った、女の子メアリが連れて来られます。その家には、部屋に隠れ、すべての可能性を大人によって封じ込められた男の子コリンがいました。
ひねくれていて子供らしくなく、心身共に病んだ2人は、「命のかたまり」のようなディコンというすてきな男の子と、知恵にあふれたディコンのお母さんによって救われていきます。きっかけとなったのが、その家の広大な敷地にあった「秘密の花園」です。
長い間見捨てられ、荒れ果てていた花園の鍵を見つけ、子どもたちは入ります。土を耕し、種をまき、色々な花々が育っていくことによって、2人の心と体が癒されていく。命が花開いていく、という感動が胸をつきます。人を変えていく大きな自然の力、人の賢い愛情を感じました。
「その人らしい最期」に寄り添う在宅ホスピスを30年以上実践してきましたが、「病気だけど、健やかにいる」という時に感動する今の私の視点に、かなり大きな影響を与えていると思います。「何がその人にとって大事なのか」を考えさせられます。
イギリス人の夫と結婚し、実際にヨークシャーも訪れました。想像していた以上に厳しい自然。だからこそ遅く来た春に命が花開く美しさは、すごいものだと思います。人間も自然の一部。一部だから、人の命を輝かせるエネルギーがそこにあります。
多種多様な物語を読んで学んだのは、人の悲しみや喜びに国境はないということ。本を読むことは、相手に共感する力を養うことになる。トータルの人間を見る力を本から教わりました。子どもたちにも、自分の宝物になる本に巡り合ってほしいですね。


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