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人を幸せにする認知症も

読売新聞2013年8月24日より

皆さん、どんな工夫でこの夏をお過ごしですか?
“これまで体験したことのない”というフレーズが繰り返し使われたこの夏。今までの暮らしのペースと同じでは乗り切れそうもない、と誰もが自覚した夏でした。

130903_01新聞の片隅に、画家ゴーギャンの絵が載っていました。南洋タヒチの熱帯の空気の中、子供を抱いてゆったりと座る地元の女性の姿。そのタイトルは『働いてはいけない』。思わず拍手しました。そうです。この亜熱帯化したような天候では、ゆったりした服装で、時間に追われない、暑い時間帯には充分休みをとる働き方が必要かもしれません。

そうは言っても、在宅ホスピスケアを細々と実践する身としては休めません。がんが進行していても患者さんが「大丈夫!」と笑顔で過ごせるために、日常的な見守りと、いつ呼ばれても応答できる心身の準備を課しています。人には決して分からない24時間の静かな緊張です。
昨年の暮れに、大腸がん末期と診断された90歳を越えるNさんは、重度の認知症もありました。本人の発する“痛み”のサインを捉え、痛みを緩和したら落ちついて、予想よりずっと長く家での暮らしを続けることができました。ご家族が協力体制で臨みました。

Nさんの認知症は特色がありました。記憶力はかなり落ちていますが、触れあう人々を褒めてくれるのです。
「きれいだね。優しいね。すてきだね」と。
Nさんに会う人誰もが幸せになりました。
認知症の現れ方は色々で、不安や妄想に囚われる人、いじわるになる人もいます。
傍でケアする人の心も痛みます。どうすればNさんのような幸せな認知症になれるのか皆、探ろうとしましたが、Nさんはついにその秘密を教えてくれませんでした。身内の集まるお盆の入りの日に皆が見守る中、静かに息を引き取りました。人生を生き切った美しいお顔に皆が見惚れました。


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