エッセイ

名作

私の代表作、「あした野原に出てみよう」を作ってくれた編集者、村石さん。

本
優しくて、知力深く、本の大好きな村石さんだった。
一見、熊さんみたいだったけれど、目は優しくて、うちの3人の子供たちは彼を大好きだった。
過去形にするのが、悲しい。

4月の末に愛する妻に寄り添われて自宅で亡くなった。外では高原の風が緑の中にサワサワと吹いていた。
私も、最期の時に会えて、旅たちが安らかになるよう、少しお役に立つことができた。
(一緒にホスピスの心を発信してきた友だもの、恩返しだよ、村石さん。)

編集者はこの名作を遺した。
縁の深い映画監督の本橋成一さんの写真に、自由につけた村石さんの名文たち。
本物の写真に、本物の文章。
しみじみと、読んでいる。