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患者を最期まで自分らしく

MGプレス2022年3月23日より

塩尻市立図書館の連続講座「信州しおじり本の寺子屋」は、在宅ホスピスケアの先駆者として知られるふじ内科クリニック院長、内藤いづみさん(65)の講演会を市北部交流センターえんてらすで開いた。
全国で講演したりテレビ・ラジオに出演したりし、著書も多い内藤さんの話を市民など70人が聞いた。(6日)
MGプレス22年3月23日より
約40年前の新人のころ、医師は患者に感情移入してはならないというタブーを破り、病名も知らされず管につながれて闘病していた末期がんの若い女性に「1日でもいいから家に帰りたい」と懇願され、自宅に帰して最期をみとった。この体験が、在宅ホスピスケアへ歩み出す転換点だった。
その後、英国のホスピスで6年間研修した。余命いくばくもない末期患者らが「よく来たね、頑張って」と励ましてくれた。緩和ケアで痛みにさいなまれず、ゆったりと命を全うしている姿に感動した。

当時影響を受けた、優れた女性の先達がいた「痛みに苦しむ末期患者にモルヒネをもっと投与し、穏やかな生を」と40歳で看護師から転身し、ホスピス界をけん引した英国のシシリー・ソンダース医師。「『何が苦しいの?』と患者に聞きなさい。患者さんが先生です」と教え、「生と死の医学」を確立した米の精神科医キューブラ・ロス博士だ。
医院を開いて約30年。患者さんをみとる中で、私自身が「いのちの声をきくこと」「いかに最期まで自分らしく生きるか」など多くを教わった。
がんの末期で認知症、難聴の90歳近い男性が、彼のケア会議をしていた私たちに「いい”あんべえ(塩梅)”でお願い申します」と言った。
「塩梅」とは、なんて人間らしい良い言葉だろう。コロナ禍で医師でさえ命の不安を感じた時、過去を振り返り、今の命を見つめるためにも、また大切な人に「私」をわかってもらうためにも、書き残す冊子「いい塩梅ノート」(15ページ)を作った。
コロナ感染予防のためこの2年間、人との関りが希薄になり、絆も縁もずたずたに切られてしまった。私たちはリハビリが必要。これからはお節介になり、お互いに声を掛け合いましょう。