講演のお知らせ

開催報告 北の大地の大巡業を終えて

111020_16.jpg内藤先生ご本人によるレポート。
10月8日?10日の連休を利用して、北海道での3連続講演に臨んだ。その前後にも講演があり、実際には5連続。主催の札幌の“ばらのおうち文庫”の高橋さんとはこの数年で親戚のように親しくなった。高橋さんは子供たちへの絵本の読み聞かせ活動などで家を解放している。高橋さんのファミリーはとても素敵なメンバーで、そこに集う色々な分野の仲間たちの絆も強い。彼女たちの計画は一年前に始まり、人の輪を広げて着々と準備が進められた。


札幌は何度もお邪魔しているが今回は要望もあり、札幌→さまに様似(襟裳岬そば)→帯広という強行スケジュール。しかし、「できます!」と言う高橋さんの言葉に私は全てを委ねた。何の心配もなかった。
十勝には私の叔父夫妻といとこ夫妻が住んでいる。そして、十勝にはまだ緩和ケア病棟がひとつもなく、ホスピスケアの認知も進んでいないと聞いていた。頑張りがいがある。私が30年学んできたホスピスケアといのちの話しを伝えに行こうと、連続講演に備えて深夜まで準備を重ねた。何しろ話したいこと、お見せしたいことはたくさんある。90分の中にどう納めるか・・・悩みつつ真剣に支度をした。
今回の連続テーマはアプリで電子版として作った「いのちのあいうえお」だ。そして、各会場、うさぎさんの小冊子を8歳と15歳の子供たちが大人の前で朗読してくれた。どの会場もいっぱいになるほど集まって下さった。高橋さんのお仲間たちの熱心なお誘いと人脈の広がりに心より感謝した。
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札幌、様似、帯広は土地柄もバックグランドも違うので、状況に合わせてライブの要素も含めていのちのメッセージを伝えたつもりだ。
今回は皆様の感想もここに載せるので、写真と共にその時の様子を感じて頂けたら嬉しい。「いのちのあいうえお」のいのちのしずくを感じさせる写真を提供して下さった、美川瑛一さんも写真班として参加して下さった。
この巡業を振り返ると(ドスコイ巡業といううわさも?)それだけで一冊の本になるほど豊かで喜びと笑いに溢れ、実り多いものだった。
私の話を3日間聞き続けた仲間たちの顔は一皮むけたように明るくなった。死を想うことは暗くなることではない。そこにある希望を皆さん受け取って下さったのだ。


ナナカマドの実が赤く色づく秋、今年もいづみ先生を北海道にお迎えすることができました。
今回は札幌、様似、帯広の3会場となり、3日間で北海道500キロを走り、
また貴重な「出会い」と「再会」がありました。
帯広会場ではいづみ先生のご親戚の方々がいらっしゃり、
会場がまるで大きな家族のようにあたたかな空気に包まれました。
様似の法敬寺では、ご住職から、大漁旗を被災地に善意で届けた新聞記事を目にしたいづみ先生と、
「一心丸」の船長さんとの心温まるエピソードを紹介して頂きました。
あたたかなご縁が結ばれていくことは、生きるよろこびだと深く感じました。
会場で同じひとときを共有できた方、会場に来れずともお声掛けさせて頂いた方、
講演会のために動いた方たちは、1000人を超えたことでしょう。
そう、正に、1000の“いのち”の結集です。
会場ではお一人お一人に「ぬくもりのたね」の冊子を手渡しさせて頂きました。
昨年のいづみ先生との出会いがあって、この小さな冊子が生まれました。
会場でぬくもりのたねまきをしよう、と提案してくださった高橋洋子さん、
入り口で私の手から直接受け取ってくださった方々、
旭川からわざわざ駆けつけてくださった方々、
講演の途中で、どきどきしながら朗読してくれた高橋佑唯子ちゃん、山内まなさん、
ほんとうにほんとうにありがとうございました。
いづみ先生の「ぬくもり」のたねが、手から手へ、
手渡した方の心を添えて広がっていくのを感じています。
静かな波紋のように…
会場で、同じひと時を過ごせた方々は
誰かに声をかけられて、時間を作り都合をつけて会場にお越しくださったことでしょう。
悲しみや苦しみ、後悔を抱えて硬くなっていた心が、
いづみ先生のやさしい声と、ユーモアあふれる言葉や
天国にいらっしゃる患者さんたちのお写真や映像に触れて
ふと、ほどけていく…
いづみ先生に出会って、お話を聴いて、笑って、泣いて、
感じ…そして気づく。
それは新しい自分との出会いの瞬間。
この講演会をきっかけに、ここでは書ききれないたくさんのエピソードとドラマがありました。
素晴らしい出会い、再会、和解、優しい気持ち、勇気…
こうして言葉ではその重みや深さが伝えきれませんが、
それぞれお一人お一人、自分の中の“何か”が変わったことに、今気づかれていることでしょう。
「気づき」こそが、すべて。
自分のもつ宝物に気づけるかどうか。
「気づき」こそ、いのちの「輝き」です。
自分の宝物に気づかないまま、日常の忙しさや目の前のことに翻弄されて日々を送るのか、
宝物に気づいて、今を輝きの中で生きるのか、
ひとりひとりが、自分で選択しているのです。
その選択のチャンスを、いづみ先生がくださっていると感じます。
「ねぇ、あなたはそれでいいの? どうしたいの?」と。
様似から帯広への途中、ダイナミックな地球の息吹きを感じる襟裳岬に立ち寄った時、
水面が夕暮れの前のお日様に一筋照らされ、輝いていました。
「あっ、光の道…」
強い海風にかき消されることなく、いづみ先生の言葉が私の耳に確かに届いて、
しばらく、光の道を、ただじっと見続けていました。
ホスピスの道は、輝きの道…
ホスピスの道を一歩ずつ、25年以上に渡り歩んで来られたいづみ先生の
今までと、そしてこれからが、海の上に輝く光の道に重なるような気がしました。
でも光の道を歩むのは、「気づき」を与えられた私たちひとりひとりでもあるのですね。
ーホスピスを学ぶということは
  自分のいのち
  相手のいのち
  まわりのいのち
  自然のいのち
  地球のいのち
  星のいのち
  に向かい合い すべてに感謝すること
  ありがとうー 
…いづみ先生の言葉、いつも忘れません。
すべてのであいに 感謝の気持ちでいっぱいです。
いづみ先生、みなさまに、またお会いできますように…
わたなべ ちえこ