エッセイ

立春

2月4日は立春。
旧暦では、言わばお正月に当たる。節分の豆まきで、邪気を払った翌日、正月のような新たな気持ちで、春を迎えるおめでたい日、と教えてもらった。日本人の暮らしの中の行事が生き続ける限り、“まだ、日本も大丈夫”と胸を撫で下ろす人も多いと思う。大人は、行事を子供たちに伝える努力をしてほしい、とも思う。(こんなことを言うのは、年を取った証拠?)


20年前スコットランドで暮らす間に、地元のディスティラリー(ウイスキーの蒸留所)を訪ねて、モルトウイスキーの味見をした時に、私の舌の味蕾は目覚めた。“芳醇”という意味を舌で知ったというと大げさか。たまに少し飲むだけではあるけれど、以来“美味しいお酒の味は分かる”などと大きな顔で威張っているのを、お許し頂きたい。
友人から教えてもらった“三枝酒店”という、地元の店の一家は、暖かく善い人ばかり。自然と呑み助がうきうきと集まる場所になっている。先月そこからチラシをもらった。
「春鶯囀 しゅんのうてん」立春朝搾り(萬屋醸造店)
そのチラシに曰く・・・
“もろみを前日より一晩中搾り続け、翌日の「立春の日」未明に搾り上がります。その新酒は夜も明けやらぬ早朝から、近郊の酒屋たちも手伝って、瓶詰め、出荷され、夕方までに店頭に並び、その日の晩酌でお飲み頂けます”
どうです?“垂涎 すいぜん”という言葉が出てきませんか?
さて、良き立春の日をお過ごし下さい。