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初女さんとの対談から


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心を空っぽにすれば
人と向かい合う時、初女さんは急がない。慌てない。ただじっと言う事を聞いて下さる。
おむすびを作る時もそうだ。
ゆったりとした優雅な物腰は、まるで能の舞のようだ。
向かい合う者も、すぐゆったりした気持ちに同調する。
心に苦しみを抱く人の呼吸は浅く、速いことが多い。
私自身も、あれもこれもしなくては、と焦って飛び回り、浅い呼吸で息苦しく、肩肘張ってあちこちに突っかかり、余計な仕事を増やしている。
「人の苦しみを聞きすぎて疲れた時、どうなさいますか?私など、すぐ体も心も固くなり、動きが取れなくなります。」
と問うと、青森弁のやさしいアクセントで、こう答えた。
「それは、自分のことで心がいっぱいになっているから、受け入れられないの。心を空っぽにすれば、受け入れられますよ。相手の全てをまずは受け止める。そうすれば、段々相手の心は落ち着いてきて、自然に「何か食べたいなぁ」という気持ちも湧いてくるのね。その時、一緒に美味しいものを頂くと、一歩進むのよ。私はあまり疲れないけれど、そういう時には趣味の好きなこと、たとえば針仕事などに集中しますね。難しい手仕事をしている間に、回復します。」
食材を“いのち”と考えたら
母から子供へ昔から伝えられた日本の味。
皆さん、ちょっと思い出してみましょう。
何を食べてきましたか?何が好き?
『太巻き寿司、いなり寿司、ちらし寿司、たくあん、白菜の漬物、きんぴらごぼう、お豆、おから、おひたし、味ご飯、味噌汁、けんちん汁、大根のあら煮、ぬた、白和え、さばの味噌煮』
派手なごちそうとは呼べないかもしれないけれど、手の掛かった素朴な食事。季節の香りのする野菜たち。私は今もそれをしっかり記憶している。その時の、家族の笑顔も浮かんでくる。
「食材を“いのち”と考えたら、人参や大根を皮むきで皮むくのだってかわいそうだもの。やさしく、包丁で少しずつね。食材をいのちと考えないから、乱暴にすぐ油でジャーっと簡単に炒めてしまうことが多いかもしれません。」
お母さんのおむすびを味わったことのない子供も増えていると聞く。丁度よい塩味で握った、米のいのちと、握り手の愛の詰まったおむすびを、お母さんもお父さんも作ってみませんか?
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対談を終えて
初女さんと12月9日に4年ぶりにお会いして、とても幸せで、そして別れはとても名残惜しかった。
この4年の間、私も公私共にいささか苦労を体験したので、心のひだが増えたのかもしれない。
初女さんのなさっている仕事の深い意味が、より心に届いた気持ちがする。
(4年前はまだまだ私も苦労知らずの人間だったの。)
そして、しっかり思い出した。
私には、一生懸命女手ひとつで、私と弟を育ててくれて、美味しいおむすびを作ってくれた母がいた。
私たちは幸せだった。
もっともっと感謝しなくては、と心に誓った。
初女さんのお話を伺った人たち皆の心に“感謝”の気持ちが浮かんだはずだ。
「疲れた者は私の下に来なさい。休ませてあげよう。」
という言葉通りの仕事をしている初女さん。
自然体で、しかし逞しく、やさしく、行動を続けるすてきな85歳の女性。
平成18年12月9日 内藤いづみ


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