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命と向き合うセルフケア

(2014年6月7日読売新聞「伏流水」より)
長野県には地域医療を創り、住民の健康長寿に貢献した誇り高き医師たちがいる。先日、そのおひとりが名誉院長を務める病院へ伺う機会があった。病院の周辺はのどかで、美しい高原地方。一歩院内へ入ったら、まるで新宿駅のような人ごみと思ってしまうほどの混雑ぶり。

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なるほど、その病院が地域の医療保健福祉を支える大きな柱であることがわかった。そこに集まる患者さんの7割以上は高齢者のようだった。患者さんを眺めながら、日本の未来の医療の役割について考えた。

日本の総医療費は年々一兆円ずつ増え、昨年度は38兆円。減る兆しはない。より安価な後発薬剤への変更など焼け石に水。医療の進化を背景に、国民の医療への期待と依存度の大きさも医療費増加のひとつの原因になっていないだろうか。セルフケア―自分の心身の健康の基本的バランスをまず自分で取る養生法。いのちの自立。昔の日本にはそういう知恵があった。それがもう一度広く日本人によみがってほしい。

清里の萌木の村のガーデンが今、ポールスミザーという庭師により確実に変わっていると船木上次氏に聞いた。彼はポールの実践哲学をこう伝える。

「その土地由来の植物を選んで育て、しっかりと根を張るのを待つ。1、2年は忍耐力がいるよ。日本人の想像する鮮やかで華々しい庭は出現しない。でも待っていると雑草が入り込むすきもないほどしっかり根が張り、力強く植物が育ち環境に調和したすばらしい庭が広がっていくんだよ」

私もイギリスの文化で生まれた現代のホスピスケアを20年前、日本に移植しても育たないと思っていたからポールには共感する。日本人の死生観にあった深い根の伸びたホスピスケアが育つことを願って活動してきた。まだ道は遠いけれど、各々の皆さんが、自分のいのちに向かい合い、いのちの声を聞ける(セルフケア)手助けをこれからもしていきたい。それが日本の医療の健全な未来にもつながると信じる。

ともかく、皆さん、この夏はフィールドバレーと新しい庭を見に清里へ参りましょう。


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