エッセイ

秋に咲く

私の小さな前庭に、薔薇と秋明菊が寄り添って咲いている。
最近は暑かったり涼しかったり。

薔薇の花

薔薇の花

富士山もかなり前に初冠雪宣言がされたが、暖かくなって溶けてしまった。
改めて、また初冠雪宣言。
目にも優美な美しい富士山を眺める幸運。

私のいのちの寄り添いの仕事は続いている。
5月から、いのちの最期に近いと私が判断した、100歳近い方が高齢者施設にいる。そこのスタッフも良く介護している。
私は毎日報告を受ける。
血圧もずっと低め。点滴はしないで口から飲むだけ。栄養剤、ミルク、お水など。
かんたんな会話もできる。
穏やかに過ごす毎日。家族にあまり会えないのだけが残念。
これからは少しは、面会規制も緩くなるだろう。
ご家族にはいのちの移ろいをよくみていただきたいと思う。

それにしても癌の人と、老衰の人のいのちの最終章はかなり違う。
老衰の人は、ゆっくり、ゆっくり。
癌の人は、病気が進行して、別れの時はあっという間に来てしまう。

私と担当スタッフは、5月からその高齢者の旅たちで、夜中の呼び出しを覚悟してきた。
私は家人を起こさないために、着替えを玄関に用意しておく。
携帯電話は枕元。忍者のように忍び足で、夜中は出動する。
担当ナースは夜中に運転の可能性があるので、5月からアルコールを夜飲んでいない。
申し訳ない。
私達はストイックにコロナ禍を過ごしている。

内藤いづみ