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うふふの「塩梅ノート」

2021年6月27日、毎日新聞「滝野隆浩の掃苔記」で紹介されました。

毎日新聞切り抜き

100円均一ショップの「ダイソー」が今年になってエンディングノートを出したというので買ってみた。なかなかのすぐれものだった。
「もしもノート」の商品名で全5種。「じぶんノート」が総括的な内容。
あとはテーマごとに「おかね」「けんこう」「おつきあい」そして「うちの子ノート」はペットについて記入する。この5冊を埋められれば、心おきなくあの世に行ける。
「終活」という言葉がユーキャン新語・流行語大賞に初めてノミネートされたのが2010年人生を締めくくるために必要なことを書くノートなんて、当時は誰も知らなかった。それが今では「100均」で簡単に入手できるのだ。感慨深い。
ただ、よく「買っても書かない(書けない)エンディングノート」といわれている。その気になって手元に置いても、実際、書く気になかなかなれない。そんな話を、甲府市の在宅ホスピス医、内藤いづみさん(65)にしたら、「あら!じゃあ、私がつくったの、送ってあげる」。
先生がかかわった難聴で認知症で末期がんの「有泉さん」の言葉だ。
ケアの方針を決める会議を、たまたま本人が同席してやることになった。
会議が終わったとき、有泉さんはぽろっと涙をこぼし、「いい塩梅でお願いします」と言ったのだ。
何も聞こえていないはずなのに。
「皆さんを信じてます。あとはよろしく」。
そんなメッセージだと、そこにいた皆が感じた。
内藤先生のノートは過去、現在、未来の時系列で書き進める形式。
これまでに読んだ本、好きな音楽の「ベスト5」を振り返り、「誰かに謝りたいこと」「感謝したい人」を思い出す。
今の人間関係を書いておき、言い残した言葉を考える。そしていつかがんになったら、認知症になったら。自分はどうしたいか具体的に書き残す。
死ぬ準備ではない。私という人間が積み重ねてきた人生の記録だ。
だから好きなように自分のペースで書いていけばいい。
先生からメールが届く。
「50年前の初恋の人の写真出てきたの。ノートに貼ろうかしら。うふふ……」」