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ホスピスとは、自分の持つ、宝物に気づくお手伝いです。

110715_06.jpg2011年6月25日、甲府第一高校の学園祭で、3年7組が作成した新聞「破暁」が掲示発表され、新聞部門で優勝されました。内藤いづみ先生のインタビュー記事の部分を抜粋して掲載いたします。


 「ホスピスとは、自分の持つ、宝物に気づくお手伝いです。」
そう語るのは、在宅ホスピス医として活躍中の内藤いづみ氏(55)である。在宅ホスピス医とは、がん患者の心身の痛みを緩和し、家庭で末期患者の介護をしようとする人達のサポートをする医師のことだ。
二十年近く前、内藤氏が医師になったばかりの頃、患者に対するガンの告知は一般的ではなかった。そのため、自分の病を知らないまま治療を受け、亡くなる方も多かったという。
「この患者は治る見込みがないと分かると、医療者の側が患者と距離を置くのです。」
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内藤氏は患者を騙しながら治療をする実態にもどかしさを感じた。そんな時、ある二十三歳の末期患者の女性と出逢った。ガンがすい臓から肺に転移し、抗がん剤治療による副作用が彼女の身体をむしばんでいた。内藤氏は、彼女に有意義な終末期を過ごしてもらうため、退院許可を得た。そして、彼女を病院から連れだして四か月後、彼女は静かに息を引き取った。この時の体験が、内藤氏がホスピス医になるきっかけとなった。   
三十歳の時に、ホスピスの発祥の地であるイギリスに渡り、ホスピス医としての研修を積んだ内藤氏は、在宅での介護にこだわっている。近年、厚生労働省の方針により、緩和ケア病棟が増加した。その数は、ホスピスの本国であるイギリスをしのぐとも言われる。しかし、緩和ケア病棟の数は増加しても、そこはまだまだ閉鎖的だ。そして、そこは家庭の居心地の良さにはかなわない。
「患者さんの心と身体の痛みをできるだけ取り除き、最期の時を一番安らげる自宅で過ごしてもらいたい。」
 その思いを胸に、内藤氏は活動をしてきた。
だが、核家族化が進む日本において、少人数での看取りは可能だろうか。内藤氏は、在宅ホスピスの間違った認識について語ってくれた。
「在宅ホスピスは、大家族でないと出来ないと思う人が多いようですが、そうではありません。核家族の方にも、また、老老介護でも、私達の手助けがあれば家庭で患者さんを看取ることはできます。」 
「ホスピスはチームで行うもの。一緒に患者さんを送り出した人達は仲間です。」
大切なのは、私達が元気なうちにいざという時のために協力者のネットワークを作っておくことだと言う。緩和ケア病棟というシステムではなく、人と人とのつながりが、安らかな終末期を迎えるために大切だと教えてくれた。
 自宅で最期の時を迎えたいと願う患者の手助けをする内藤氏は、現在、話題となっている「尊厳死・安楽死」についてどのように考えているのだろうか。
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「ホスピスに携わる人間としては、尊厳死・安楽死には基本的に反対です。本当に患者の痛みをとるための全てのことをしたのか。痛みがなくなれば、また生きる希望を見出せるのに、積極的安楽死(薬剤の投入)をしてもいいだろうか。主治医にとっても苦痛であることを行っていいのか。」
しかし、海外で顔の骨のガンで闘病していた女性が、自らの尊厳のために死を選んだというドキュメンタリー番組を見て、尊厳死・安楽死を完全に否定するわけではないという考えに変わったそうだ。
一方、ベルギー・オランダを中心に、欧米では尊厳死・安楽死が行われつつある。尊厳死・安楽死に肯定的でない日本とは何が違うのだろうか。
「最も大きな違いは国民性です。欧米の人々は、自主性に富み、自分の事は自分で決めたいと考えます。」
 また、日本でも、尊厳死・安楽死が法制化される動きがある。内藤氏は、この動きについて注意深く見守ると言う。
 最後に、これからの社会を担う若い世代に次のようなメッセージをくれた。
「これから厳しい現実・未来があるかもしれません。けれど、自分の目指す道を決めたら、尊敬する人を見つけ、その人を一番に光る星として、追い続けてほしいです。特に医学生・看護学生には、実際に家庭で難病に立ち向かう人を見てほしいですね。個人個人に合う・合わないがあるだろうけれど、病院・ホスピスの両方を体験することで、医療の現実を知ってもらえると思います。」
 現代日本では、核家族化が進行し、家族の終末期を青少年時代に体験する機会はまれになった。そのため、私達は「生と死」について考えることもほとんどない。
 だが、私達はいつか必ず死を迎える。その時、私達は幸せな最期の時を迎えることが出来るだろうか。今から心の片隅にとどめておきたい。
内藤 いづみ氏
ホスピスの本国・イギリスにてホスピス研修を受ける。甲府市・緑が丘にて在宅ホスピス医としての拠点「ふじ内科クリニック」の医師として活躍中。


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