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ホスピスケアって何だろう

まるごとけんこうvol.45より


私は進行がん患者さんを支える在宅ホスピスケアという医療分野を如年近く学び、
山梨で実践している医者です。
現代のホスピスケアは、英国で1960年代に誕生しました。特に、セントクリストファーホスピスのシシリー・ソンダース女医らが、がんの体の痛みを安全に緩和できる方法と心身のサポート法を世界中に発信し、現代の多くのがん患者さんの幸福に貢献しています。
私の両親は教師であり、起業家でした。そんな環境で自由に学び、考えることを許された私が医者になった時、私の心に浮かぶことは「なぜ?」でした。なぜがん患者さんは病名も告げられず大きな不安の中で、時には激しい痛みに苛まれて病院で亡くなっていかなければならないのか。体の痛みが緩和できたなら、一番に居たい場所になぜ帰れないのか。自分の未来なのに、なぜ自分で選べないのか。
40年前、新米医者の頃出会った入院中の23歳の女性末期がん患者に、私はこう問いかけました。
「落ち着いたら何をしたいの?」
「一泊でもいい、家に帰りたい。手伝って、先生」
その願いに答え、ご家族と協力し家に連れて帰り、平和で幸せに家で100日過ごす日々を支えたのが、私の在宅ホスピスケアの第一号でした。彼女は家で安らかに息を引き取ったのでした。
在宅ケアなどない時代に勇気を持って踏み出した第一歩でした。
今は、在宅ケアの時代になり、サポート体制も痛みの緩和もずっと受けやすくなっていま幸先そんな時代だからこそ、いのちに向かい合い、自分の人生の生き抜き方を一緒に学んでみませんか?