エッセイ

松江~出雲の旅

101026_01.jpg松江市民病院から講演のお招きで、10月16日に松江を初めて訪れた。2日とも快晴。宍道湖の有名な夕焼けも見ることができた。
この市民病院には2年前から緩和ケア病棟が開設されており、地元の一般市民の皆様に緩和ケアやホスピスの働きをもっと知って頂くこともひとつの目的だった。


これで3度目となる柏木哲夫先生との対談も組まれており、私自身とても楽しみな催しだった。柏木先生のお話はいつも分かりやすく、明るく温かく、ホスピスケアを実践する者たちに勇気と励ましを与えて下さる。“死は敗北ではない”という大きなメッセージ。緩和ケア、ホスピスケアは医療の中で一番の“最期まで寄り添う心”の必要な分野であること。
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万年青年のイメージを保つ柏木先生の健康の秘訣もおまけに教えて頂いた。
ところで、貪欲な私のこと、合間を縫って松江城めぐり、歴代城主のお墓のある月照寺、小泉八雲(ラフカディオハーン)の足跡、一年に一度の夜の太鼓のお祭り「松江水燈路」、翌日の午前中の神在月出雲大社のお参り、など堪能した。もちろん名物の和菓子と出雲そばも。
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日本海を臨む灯台から海に向かって大きな深呼吸をして帰路に着いた。
日本中で秋が深まっている。
(追伸)
島根県と山梨県は共通点も多いことに気付いた。
人口80万人という小さな県。老齢化率が高い。経済的には(数字的には)豊かとは言えない。しかし、自然は豊かでしかも自然災害が少ない。健康長寿全国上位。異なる点は?穏やかでのんびり、上品で、親切な島根の県民性かと思う。茶道や足立庭園をはじめとする教養と文化度の高さ。
山梨県の方は、気が短く、けっこうせかせかと働く気風。山梨には文化的に古い遺産も島根に比べて少ない。
島根はよい政治をした城主様が続いたことが大きいかもしれない。山梨は江戸時代ずっと幕府の直轄地で、代々の代官様に締め付けられていた?悪く言うと、搾取された歴史だと、どこかで教わったことがある。安心して暮らせず、どうしても個人的に功利的になる、と。
今回、松江での対談で柏木先生は死にゆく人に向かい合うケアを長く続けてこられた自分の資質を評して、eternal optism(永遠なる楽観性)とおっしゃった。
物事をどうとらえるか?どう見るかで不幸せにも幸せにもなれる、ということだと改めて教えて頂けた。その他にもたくさんのキーワードを頂いた。ふたりの3回に渡る対談は書籍化目指して努力中。皆様、楽しみにしていて下さいね!