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新刊レビュー「いい医者 良い患者 いい老後」

100728_03.jpg サブタイトルが「『いのち』を見つめる二人旅」
とある。放送タレントの永六輔と、在宅ホスピス医の内藤いづみが、岡山、福山、山梨、長野など患
者の家で、お寺で、小さなお店で、大きな会場で、医療、介護、老後、日本の未来のことなどを漫才のように掛け合い的に話したことをまとめた内容。笑いの中に本質をえぐり取っており、納得、共感が得られる。また間にそれぞれのエッセイが挟まれていて、それぞれの考えが示される。


 例えば永六輔は、父、母、妻を看取っている。父のときは集中治療室に入れられていた。母はそ
れをみて「あんな死に方はいやだ」。脳死状態になった母だったが、それでも温かいし、心臓は動
いている。脳死となると「臓器提供」というのはキリスト教的な考え方で、仏教の「心身一打」、体と心は一緒であるから成り立っているとする考え方からいえば反対する。そして妻が亡くなるときは家に引き取り、家族で理想的な看取り方ができた、と語る。
 内藤いづみは在宅ホスピス医として、さまざまな患者の在宅での最期を看取ってきた。「ありが
とう」と言って亡くなる人の家族は、患者の思いをどう受け止めたのか、また出産と臨終の場は同
じように大切なことなのに、「死」については十分に語られないと指摘。
 二人の対話から、いい医者の選び方、いい患者の心得、そしていい老後を過ごすことはすべてつながっていることがわかる。