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老年の生きがいは自分で見つけよう

JAフルーツ山梨会報2015年8月号より

高名な女流作家の90歳の母親が、娘にこう頼みました。
「面倒をよくみてもらい、自分ではすることが何もない。人生の楽しみを私のためにみつけてちょうだい」
女流作家はこう答えました。

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「お母様、老年の幸せをみつけるのは自分の責任です。自分で探して下さい」
日本の今の介護保険サービスは、あまりに至れり尽くせりのお世話で、本人の「自分のことは自分でしたい」という気概が削がれないだろうか?と心配になる時があります。

95歳の身寄りの少ない女性が、ひとり暮らしが難しくなり施設に入りました。最初は我慢していましたが、いのちの最期が近づくにつれ、本音が噴出。
「家に帰りたい。流動食は嫌だ。こんな所に居たくない」
私が往診すると「ヤブ医者!」と怒鳴りました。食事の量も減り、ケアも拒否。老年の最終章は見た目は弱々しく、つい同情心を持ってしまいがちですが、実はいのちは最期までメラメラと燃えるエネルギーの塊なのです。

介護者たちもよく忍耐強く寄り添ってくれました。いのちのエネルギーを燃やし尽くして、やがて平和な最期をむかえました。この方らしく頑固を通した見事なものでした。その人らしさにはたくさんの形があるのです。

先日は北海道の北の果て、利尻島に講演に行って来ました。海の幸が豊かなその島では、80歳過ぎた人がひとりで小舟に乗り、名産のウニを収穫していました。「海に出ること」が老年の生きがいとなっているのです。
元気なうちに、生きがいをみつける準備をし、社会と繋がりながら、自分の生き方を守っていく。それが、老年の閉じこもりがちな「生活不活発症候群」を防ぎ、生きがいと強さの創出に繋がるはずです。

内藤いづみ