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素敵なあの人に会いたい

なんとなく日々を過ごしていせせんか? 家族や大切な人と向き合っていますか?
在宅ホスピス医として毎日命と向き合っている
内藤先生から、「生」について素敵なメッセージをいただきました。
(健康アイ2008年vol.05より抜粋)


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最後まで自分らしく生きること その手助けがホスピス医療
「いらっしゃい、どうぞー」そういって迎えてくれた内藤先生。その瞬間、場がバッと明るくなりました。小気味よい話しぶり、伝わってくる安心感。病院嫌いの患者さんもここ「ふじ内科クリニック」には多く通っているという話にも納得です。
 先生は在宅ホスピスケアの、国内第一人者。ホスピスはイギリス・キリスト教における巡礼者などのケアに端を発し、がん患者など終末期患者の痛みを緩和する施設として確立。現在は宗教や国を越え、緩和ケアとして医療機関に広まっています。
 重病患者が家に戻れず孤独に亡くなっていく日本の医療現場に疑問を抱いていた先生。ある末期がんの女性を在宅でケアしたことが、その後の行動を決定付けました。病院に勤務しつつ毎日女性の自宅に通う大変な状況でしたが、そこではじめて「自分の心と行動が一致した」のです。
その後渡英し、現地のホスピスケアを勉強。帰国後は、在宅ホスピス医療のかたわら、各地で啓発活動を行っています。
人生の課題は自分の身近な人から学ぶ
 数多くの終末期患者と向き合ってきた先生に、生きていくうえで大切なことを伺いました。「自分の人生や命ときちんと向き合うこと。体の痛みは媛和できるけど、心の痛みは患者さんが自分自身で向き合わなければなりません。でもどうしても私たちに頼り過ぎたり、家族が動揺したり。現代日本人の、命を見つめずにきてしまったことから来る弱さかな。健康情報に踊らされたり、すぐに病院に直行したりね。
もう少し、自分の命は自分で運転するんだという自立心や自尊心がないといけないと思います」
 少し耳が痛いお話。そんな先生の姿勢は、周囲の人との付き合い方に対する考えにも反映されています。
「後輩の医師たちに伝えたいのは、医療は人と向かい合う仕事ということ。医学の勉強はもちろん、人と付き合ったり、芸術を学んだり、本を読んだりすることも同じくらい大事です。患者さんからも学べるけど、一番学べる相手は、自分の身近な人なんですよ。家族や一番大切な人。その人ととことん向き合って、人生の大切なことを教えてもらう。人生の課題は自分の身近な人から、です」
 それは医療従事者に限らず、誰にでもいえること。普段何気なく過ごしている相手と正面から向き合うことが大切だと気付かされます。
「そう、周りに『常に感謝する』こともとても大事。今、自分がここに生きていることは奇跡なんですよね。そのことに感謝して実勢に向き合い、自分の人生をしっかり生ききる。そうすれば死に対しても恐れじゃなく、命をつなげるという希望となり、旅立っていけるのではないでしょうか」
 人の一生はあっという間ですが、そうやって後悔しない生き方をしてほしい先生の願いが込められた言葉です。
食事はバランスよく
踊らされない、追い込まない
 次に、内科の医師として体に必要なことは何かと伺うと、こんな答えが返ってきました。
「人体に必須なのは、息をすること、食べること、睡眠です。この3つの基本をしっかりおさえること。十分に息を吸って、吐いてって、意外とできていない。それに効果的なのは運動なんです。それも、自然の中で伸び伸びとできる運動がおすすめ。
 また、食事は、やはり穀物を人には合っていると思います。それに、なるべく地元で採れた新鮮な野菜を摂るのが望ましい。どこで採れたか分かるから安心ですし。最近は自分で野菜を作る人も増えましたね。私の住んでいるこのあたりは自農ブームなんです。ただ大事なのは、これがいいから、これだけ! などこだわりすぎないこと。結局、バランスよく摂ることがいいんです。自分を追い込んだら意味がない。健康オタクになってはダメですよ。そういう意味でも、さきほどの 『情報に踊らされない』というのは重要です」
 先生のお話は、何事にも自分をしっかり持つということにつながります。
 最後に、こんなお言葉も。
「一つのことを20年続けると 『よくやった』 といわれ、30年続けるとそれは 『歴史』 と呼ばれると、いう言葉があります。ちなみに私もホスピスの活動をして今25年だから、あとちょっとで歴史かな (笑)」
 30年といわず、ずっと活躍し続けていただきたい内藤先生。命にまっすぐ向き合っている先生だからこその、貴重なお話でした。