「いのち」に向かい合う

内藤医師盛岡で講演 在宅ホスピスの草分け
(2014年3月26日付盛岡タイムズより)
日本の在宅ホスピスの実践者として草分け的な活動をしている、ふじ内科クリニック院長(山梨県)の内藤いづみさんの講演会が21日、盛岡市永井の都南文化会館キャラホールで開かれた。在宅医療連携拠点事業所チームもりおかが在宅介護者リフレッシュセミナーとして企画。約100人が耳を傾け、命とどう向き合うべきか考えた。

140408内藤さんは東京女子医大内科などに勤務後、1986年からホスピスの本場英国で学んだ。日本では本人の意思とは関係なく延命治療が行われていた時代。患者の肉体的、精神的な痛みを和らげる「緩和ケア」に力を入れ、その人らしい生き方や尊厳ある死に重点を置いたケアに衝撃を受けた。

ある女性患者は、全身にがんが転移し、食事を取るのが困難になっても「点滴につながれるより、一口でもいい、家族と一緒においしいスープを飲みたい」と話した。女性患者のりんとした笑顔が忘れられない。
帰国後、日本の文化、風土にあったホスピスの方法を模索。訪問医療のクリニックを開業し、人生の終わりを自宅で有意義に過ごす決断をした患者や、その家族を支える「在宅ホスピス」を始めた。

がんの終末期、自分の畑で大根を育てる夢をかなえた人、世話になった看護師に得意の水泳を指導することで恩返しをした人など多くの輝く命に出会った。
「誰しも体が痛めば、生きる希望は持てない。しかし、それを取り除くことができれば、こんなにも一生懸命にその人らしく生きるすべがある」。クリニックの看護師や地元の訪問看護ステーションのスタッフとチームを組み、命と丁寧に向き合う医療を続けている。

いちどきに多くの命が失われた東日本大震災津波は、内藤さんにとっても「命」や「死」について深く考える機会になった。「突然、命の機器にさらされることは誰にでも起こりうる。その意味では災害も、がんも共通している。命の機器に際してどう行動するか。日ごろから、できるだけ正確な情報を得て、自分の頭で考えること。決断したら行動し、その結果を受け入れ、愛すること」と内藤さん。
「最期まで自分らしく暮らすためには、どのように生き抜きたいのか死生観をしっかり持つこと。元気なうちに、いざというときサポートしてもらえる周囲との縁をたくさん作って」と助言した。
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