講演のお知らせ

開催報告 2007年2月14日諏訪

勉強会の伊藤様からのおたよりをもとに、開催報告とさせていただきます。伊藤様、大変ありがとうございました。


平成18年度最後のほろ酔い勉強会が、春を待つ雨の中開催されました。
鎌田實先生のウエルカムスピーチで和ませていただいた後、勉強会へ。
今回のテーマは「緩和ケア・いのちのケア」です。
いのちのケアを「いのちの雫」にたとえた内藤先生、参加者の瞳もキラキラ、時折涙・・・と、空からも優しくたくさんのエールが降り注いでいた感じがいたしました。
以下、勉強会の概要をまとめました。
諏訪中央病院 平成18年度 ほろ酔い勉強会(第173回)-2007年2月14日
○これからの緩和ケア-諏訪中央病院の新しい緩和ケア
 平方 眞  緩和ケア科主任院長
在宅ホスピスの意味と意義
 内藤いづみ ふじ内科クリニック
★これからの緩和ケア★ 平方先生講和
緩和ケアについて、90年代の定義と、現代の新しい定義とを比較しながら説明していただきました。
新しい定義とは
「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より、痛み、身体的な問題、心理社会的問題、スピリチュアルな(霊的・魂の)問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質・生命の質)を改善するためのアプローチである。」
この定義を前提に、いまどのくらいの緩和ケア対象者が存在するのか。
そして、その方たちをどのような仕組みでケアしていくのか。
諏訪中央病院の例も交えながら話していただきました。
本人の希望や状況の変化に応じて、選択できる緩和ケア。
その必要性が理解できました。
 また、緩和ケアを進めていくうえでの新しい仕組みの課題、すなわち「在宅療養支援療養所」が平成18年4月よりスタートしたものの、それらの「ケア力(りょく)」をはかるデータベースがないこと。この療養所に病院が入らないことなど、見直さなければならない視点も指摘されました。
 緩和ケアが特別なことではなく、身近に利用できる安心感。そのためには私たちは何ができるのか、
宿題をいただいた感じがします。先生が写された映像からは、音も想像できる雰囲気が漂っていました。
★いのちの雫―在宅ホスピスの実践―★ 内藤いづみ先生
 パワフルでユーモアいっぱいの内藤先生からは、先生が関わられた患者さんの体験談や映像を交えながら、緩和ケアの実践をわかりやすく話していただきました。イギリスのホスピスでの学びやホスピスを支えあう人々のチャリティ観、ホスピス運動の創始者シシリー・ソンダースの教え、看取った人々へのビリーブメント(死別)ケアと、そのパンフの翻訳によるホスピス啓蒙(学習)活動の必要性など。
 また、厚生労働省医政局総務課による専門職(医療・看護・介護)への終末期医療に関する調査結果をもとに、平成5年・10年・15年の意識変化を比べ、認知度の必要性を再度確認しました。
在宅ホスピスの実践からは、たとえ病に蝕まれたとしても最期まで自分らしく生きることが可能であることが理解できました。そこには、本人と家族や近しい方々、専門職の方々との信頼関係が欠かせないことが、映像に現されたすべての方々の笑顔よりわかりました。
 特に印象深かったことは、キューブラ・ロスが書いた『ダギーへの手紙』。小児癌等で短いいのちを
 終える子どもたちが問う「死ぬって何?」に、どう大人や専門職は向かい合うのか。一人ひとり異なる生き方、生の終わりを笑顔でおくるためにも、日々の生活を関わりの中で大切に営むことが大事なのだと教えていただきました。希望が持て、願いを持て、いのちが輝く社会を・・・。