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(講演の要約)2007年2月3日福山

2007年2月3日に行われた福山での講演について、福山市医師会緩和ケア勉強会様より要約の文章を頂きました。皆様にご紹介しますね。

講演タイトル : 「あなたを家で看取りたい」~在宅ホスピスケア医からのメッセージ~
講師 : ふじ内科クリニック(甲府市) 内藤いづみ 先生
場所 : 第4回福山市医師会緩和ケア勉強会 広島県民文化センターふくやま

[内藤さんの抄録] 命の不思議さを、ずっと考えてきた。20年以上ホスピスケアの探求の道を歩んできて私の今がある。ホスピスケアは緩和ケアとして日本の医療の中で進展し喜ばしいことである。しかし、痛みに関してさえ、医療側の視点にたった技術に傾いていないだろうか?痛みを抱える人間の前に膝まずき、謙虚にじっと痛みの奥にある声を聴けた時、私達はいのちによりそう第一歩を踏み出したのだ。そのささやかな実践をお伝えする。

緩和ケアという言葉もない、ホスピスも日本で三つしかなかった。そんな時になぜ私がその分野を選んだのか。末期がんになって告知も受けずに、しかも体の痛みや苦しみをうまくとってもらえずに病院にいる、そういう患者さんたちの前にひとりの人間として立ったときに、こんなことでいいのかという思いが医学生のころからずっとあった。その思いが今につながっている。これから緩和ケアという仕事に従事される人は、なぜこういう仕事をしているのか、なぜ緩和ケアで患者さんの苦しみを緩和しようとしているのか、自分の心の底の原点に戻っていただきたいと思う。

私は患者さんのトータルの痛みに向かい合うという勉強をイギリスでしてきた。日本でも体の痛みの緩和に関してはずいぶんとしやすくなった。そういうことを一生懸命に啓蒙してきた。モルヒネを使うことで患者さんは痛みから解放されて、自分の人生を再確認でき、家族に自分の思いを言い残すことが出来るのはすごいことだし、笑顔で家族に別れが出来るのは幸福そのものとだと思う。

私は去年の秋、腹腔鏡を使った3泊4日の小さな良性の手術を受けた。医療の現場では、患者さんが自分の苦しみを我慢しても求めるものがある。痛んでも吐いても、まだ先に望む何かがある患者さんたちの存在を、私たちは無視してはいけないと自分の入院の体験から思った。

愛と受容と配慮と希望にあふれた環境があれば、ホスピス病棟でなくても十分だと45年前にキューブラー・ロスは言っている。今の緩和ケア病棟というところに足を踏み入れると、少し違和感があるが、その違和感のここが一つの原因かと思う。

私は20年以上、末期がんといわれてる人たちが明日の希望をもって今日を生き切るということが何なのかということを考えながら仕事をしてきた。この分野にたずさわっている人たちは、なぜ自分はこの仕事をしたいのか、はじめのほんとの気持ちを時々思い出しながら、自分自身を回復する時間をもってがんばってほしい。

『死ぬ前におじいさんが言ったこと』
谷川俊太郎

私はかじりかけのリンゴを残して死んでゆく
言い残すことは何もない
よいことは続くだろうし
悪いことは無くなるだろうから
私は口ずさむ歌があったから
錆びかかった金鎚もあったから
言うことなしだ
私の一番好きな人に伝えてくれ
私は昔あなたを好きになって今も好きだと
あの世で摘むことの出来る
一番きれいな花をあなたに捧げると

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