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やすらかに生終える場を

15年前にご縁があり、最期のターミナルケアにかかわらせていただいた女性がいた。その方のご主人の往診が今始まっている。ご主人は80をこしている。娘さん2人に囲まれてゆったりとマイペースですごされて幸せそうだ。何度目かの往診の時に、娘さんがこの古い新聞をみせてくださった。

「お仏壇の引き出しを片づけたら出てきました。この記事を読んで母は先生をたずねたんですよ。その縁で今は父もみてもらえて幸せです。本当に15年、ずっと先生この道ひとすじにがんばってきたんですね。」
「ほんとうに。15年あっという間でしたけど私もしつこい性格ですよね。」
みんなで笑い合った。

病室は明るく庭から緑の風と鳥の声が入ってくる。古くなった新聞の写真の中に若い私の姿があった。これからもこの道ひとすじに!

平成18年11月11日 内藤 いづみ



1992年4月24日(金)朝日新聞より抜粋

やすらかに生終える場を 
だれもが直面する終末期をいかに充実して迎えるか-。英国でホスピス(終末医療)活動に携わってきた甲府市の湯村温泉病院に勤務する医師、内藤いづみさん(三六)を中心に、市民有志らが二十三日、甲府内で会合を開き、今年六月、「やまなしホスピス研究会」(信田悦子会長)を発足させることを決めた。医療関係者と一般ボランティアが、ともに学びながら「ホスピス」を実践し、県では初めてのホスピス施設の建設を進めていく。
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ホスピス研究会6月発足決める
ホスピスは、死が間近に迫った患者に対し、副作用を伴う抗がん剤投与、持続点滴などの「延命治療」ではなく、本人の意思に応じ、痛みと精神的苦痛を緩和することを目的にした医療施設。医師や看護婦、心理学者、地域のボランティアらが協力してチームを組み、患者本人とその家族のケア(看護)にあたる。現在米国に千七百、英国には百五十のホス
ピスがある。が、日本ではまだなじみが薄く、病棟を持たない在宅ケア専門の施設を含めても全国に約二十ヶ所。このうち、厚生省の指定を受け医療健康保険が適用される施設は、東京都、千葉、埼玉県などに七病院だけという。

病院建設へ有志15人
内科医の内藤さんは一九八六年から五年間、英国スコットランド州のグラスゴー市に滞在、「チャールズ、ダイアナ妃記念ホスピス」に勤務。医療チームの一員として在宅、適所、入院患者の終末期に立ち会ってきた。帰国後、甲府市の湯村温泉病院に勤務するかたわら、ホスピスの実態を各方面で紹介。今年二月の県ボランティア大会での講演をきっかけに有志が集まり、ホスピス設立に向けた活動を展開していくことになった。
 この日、同病院で開かれた運営委員会には、訪問看護婦、会社社長、ソシアルワーカーら約十五人が参加。今後、参加者を増やし、ホスピス・ケアの学習・実践を続けながら、病院建設を目指す。参加した県立高等看護学院教員の伏見正江さん(三八)は「市民が健康な時から参加できるような、医療開放の場にしたい」と話していた。

 設立総会は六月十三日午後一時半、甲府市買川一丁目の県立文学館で。内藤さんは「ホスピスとは、よりよき『生』をまっとうするための手助けをすること」と説明し、理解を呼びかけている。

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