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死をタブー視しない

「死への準備をすることは、よりよく生きることにつながる」と説き、日本で長年、「生と死」の哲学を教えてこられました。
2008年6月23日 朝日新聞 人生の贈りもの 哲学者 アルフォンス・デーケンより抜粋

日本では80年代、死はまだタブーでした。死への準備教育の普及などをめざす「生と死を考える会」をつくったのですが、地元のホテルでは、「披露宴があるので会の看板を早く外して」と言われた。人間らしく生き、死ぬために必要なのに、理解されませんでした。ホスピスや土台となる死への準備教育が必要だと思いました。

死をタブー視すると、生の終末期に何に希望を見出したらいいかわからなくなり、延命だけを考えるようになる。講義をはじめた77年、ホスピスは知られていませんでしたが、いまは200近くあります。

隔世の感があります
30年前と違っていまは日本でもがんの告知をすることが多い。でもアフターケアが足りない。ドイツにいる妹の夫ががんでなくなりました。手術の後、「治る見込みがない」と医者から言われました。医者は医学的な説明をして帰りましたが、神父は亡くなるまで毎日やってきました。日本では難しいでしょうが、考えていく必要があります。

多くの日本人は、自宅の畳の上で死にたいと考えています。でも、家族は自信がなかったり、心の準備ができていなかったりします。教育が重要になってきますね。死に関する教育やボランティア活動によって自分が豊かになるだけでなく、もっと温かい社会をつくることが出来ると思います。

第二次世界大戦中のドイツで育ちました
北ドイツで生まれ育ちました。父は実業家で、命をかけて反ナチ運動をした。私も休みの日には朝から晩まで、反ナチのビラをタイプライターで打ちました。週2、3回、連合軍の攻撃を受け、夜は防空壕で過ごしました。

8人きょうだいだったのですが、8歳の時、4歳下の妹が白血病で亡くなった。治る可能性がなく、自宅で死を迎えた方がいいと父母が考えて家族全員が看護しました。妹は一人ひとりに「さよなら」とあいさつし、「天国でまた会いましょう」と言って息を引き取った。積極的に死を迎えたのです。生と死を深く考えるきっかけになりました。

アルフォンス・デーケン(75)
1932年生まれ。上智大名誉教授。カトリック司祭。「死生学」を日本に根付かせた先駆者のひとり。著書に「死とどう向き合うか」など。

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