エッセイ

食べること


人が幸せになることは案外かんたんなのかもしれないと思う。
私には親しい人と囲むおいしい食事のひとときがそのひとつ。
先日、ビストロスマップという番組を偶然初めてみた。
ニコラスケージが客人として登場。
まわりの日本人のタレントが何とも子供ぽくみえるほどの大人としての風格と存在感が印象的だった。
彼は料理を口にする時大きな手で口をかくして食べた。
それをみて参加者はゲラゲラ笑った。
ニコラスケージは「人前で食事をするのをみせるのははじめてなんです」と言ってずっとそのマナーを続け、まわりはその度に笑った。
私もいっしょにみていた子供も、そのマナーはすてきだと思ったし「日本人は失礼だね」とテレビに向かっておこったりした。
そもそも日本人はムシャムシャ口をあけて食べるのを他人にみせる番組に慣れすぎて品性を失っていないかしらと。
食べることも排泄と同じ位、原始的でプライベートなこと。
だからこそ食事のマナーが生まれたはず。
山梨の地元からでた小笠原流にもっとがんばってほしいと願う気持ちが生まれた。
以前、佐藤初女さんのおにぎりやお料理を食べながら対談するということがあり、その様子を録画された。とても食べた気がせず消化作用が止まってしまうほど緊張したことを思い出す。
私もニコラスケージのように口をかくせばよかった—。
さてグルメ日記ではないけれど最近親しい人たちとおいしく食べた食事を紹介。
福岡市(中州)
上海餐室(しゃんはいさんしつ)電話092(724)6506
地元では有名な知久(ちく)さんというシェフが自分の場所で思うままの料理を創りたいと独立。
中華のイメージではとらえきれない繊細で創作的な美しく豊かなおいしさの料理ばかり。
コーディネーターの地元顔役の緑川先生に心より感謝。