エッセイ

私のブックレビュー 2011年6月

前回、プリンセス・トヨトミ(万城目学)のことに触れましたが、今回は神の火 高村薫(新潮文庫)を読書中です。
原子力発電所を核においたスパイもの、と言ってしまうと軽すぎる、極上のサスペンスです。



主人公も魅力的ですが、何より作者の原子力関連の調査力の裏打ちの高さに、福島第一原発崩壊後を生きる私たちはリアリティを持って物語にぐいぐいとひき込まれてしまいます。
そして万城目さんもそうですが、リアリティを持つほどの力を持った作品というのは、作者の血の出るような創作の努力に支えられているのだと感じます。
私もまた私の知るいのちの学びを深くおりこんだ物語をいつか書きたいと心に誓いました。